GID(性同一性障害)に悩み自殺未遂した友人FTMの話
GID(性同一性障害)の友人の中には、自殺未遂した人もいます。
もし今辛い状況にある人が、バカな考えになってしまわないように、そのエピソードを紹介したいと思います。
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僕が自殺未遂を図ったのは23歳のころで、当時、両親や近しい友人にカミングアウトし、治療のためクリニックにも通うなどGIDとして一歩を踏み出していたときでした。
ただ不安定な時期だったのもあり、治療がうまく進まなかったり友人や恋人との関係など、色々なことが重なり疲れ切っていました。
もうGIDとして生きることに何の希望も見出せなくなった俺は、自分の体を呪い「俺はなんで普通じゃないんだろう」「なんで自分らしく生きるのにこんなに大変なんだろう」と思い悩みました。
俺らはみんなそうですが、いくら頑張っても、普通の男のように好きな人との子供は産まれません。彼女ができても子供を産ませてあげられません。そんなんで幸せにできるのかって、そういうことは本当にメンタルにきますよね。
そして俺は「死」を決断し、遺書も書きました。
自殺の場所は樹海を選び、両親にいつも通り挨拶し、友人に電話をしました。
さすがに友人は何かを察したようで、「変なこと考えてないよな?」と聞いてきましたが、俺なりに気丈に振る舞い否定しました。
やることをすべてやった俺は、樹海行きのタクシーに乗り込み「青木ヶ原の樹海近くまでお願いします」とお願いし、これが最後であろう流れる景色に少し感傷的になりました。
しかし、なにかを察した運転手のおじさんが話してる途中で恐らく死に行くことがわかったようで、止められてしまいました。
仕方がないので、その後ホテルで薬を飲んで自殺を図ろうとしたけれど、いざとなったときにその一手を下すことはできませんでした。
死ぬ勇気もない自分に幻滅して、普段泣かない俺も、このときはさすがに泣きました。
その後兄弟が迎えに来てくれて、無事に家に帰り、自殺をしようという気持ちは薄れていきました。
だけど、気持ちは全然晴れなくて、つい両親や家族にあたってしまっていました。
そのせいで次第に両親までも体の調子が悪くなり、もう家にいられないなと思った俺は、一人暮らしを始めました。
そしてそこで運命的なFTM君との出会いがあったお陰で、良いクリニックや、診断書を早く出してくれる病院などを紹介してもらったり、悩みを打ち明けるうちに次第に気持ちが楽になっていきました。
僕は自殺が頭にちらついても、行動に移す事は幸いありませんでした。
確かにどんな方法をとっても現代では本当に男性になる事はできないし、家族や恋人の事を思うと「僕のせいでみんなは幸せなのかな」と思うと今でも胸が締め付けれ、いなくなりたくなる事があります。
でも手術やホルモン注射のおかげで、以前よりも自分を受け入れられるようになったし、彼のようにFTM仲間との出会いによって、一人じゃないと思うと僕も生きやすくなりました。
今悩んでいるFTM君は本当に辛いと思います。
でも絶対に命を絶つような事はしないでください。
悩みながらも、良い事もたくさんあります。
彼も死なないで本当に良かったと言っていました!