ホルモン治療とは?
こちらの記事ではホルモン治療について説明していきたいと思いますが、そもそも「ホルモン」とは何かご存知でしょうか。
簡単に言うと、『ホルモンはある器官から、神経を通らないで他の器官へ命令を伝える物質』です。
詳しくは、特定の臓器や組織(精巣、卵巣、副腎皮質、脳下垂体など)で生産され、血液中に分泌され、体中を巡り特定の組織の特定の受容体と合体して、その細胞に化学的変化をもたらす化学物質です。
分泌腺から導管を使わずに血液や体液に直接運ばれて各臓器に伝達される仕組みを「内分泌」と呼び、ホルモンは「内分泌物」と呼ばれています。
ちなみに「環境ホルモン」というのは、この内分泌システムを混乱させるもので、「内分泌撹乱化学物質」と呼ばれています。
ホルモンには実はたくさんの種類があるのですが、その一つに「性ホルモン」というホルモンがあって、ステロイドホルモンの一種です。
それがいわゆる男性ホルモン、女性ホルモン(卵胞ホルモンのことを指すことが多い)です。
よく男性は男性ホルモンだけをもっていて、女性は女性ホルモンだけをもっていると誤解をしている人もいますが、男性も女性も体の中では、男性ホルモン、卵胞ホルモン、黄体ホルモンを持っています。
この性ホルモンが、微妙なバランスで動いています。
なので男性と女性の性ホルモンの差は、分泌される性ホルモンの違いではなく、ホルモンのバランスの違いです。
GID(性同一性障害)のホルモン療法では、外から性ホルモンを取り入れることで、ホルモンのバランスを目的の性別にあわせることです。
ちなみに卵巣や睾丸を取ったところで、元の性ホルモンが完全に無くなることはないです。
副腎や他の臓器からも、少しですが性ホルモンは作られているので、卵巣や睾丸を取らなくても正しくホルモン療法を受ければ、その機能を十分に押さえることができるということです。
性ホルモンの投与に関しては、標準的な目安はありますが、絶対的なものではないです。
人それぞれですので、医師の指導を受け投与していれば、使用量が人と違うからって不安にならなくて大丈夫です。
GID(性同一性障害)の治療で使われる性ホルモンはどんなもの?
GID(性同一性障害)で主に治療で使われる性ホルモンを紹介します。
『 男性ホルモン』
注射: エナルモンデポー・テスチノンデポー・テストビロンデポー(エナント酸テストステロン125mg/1A、250mg/1A)
錠剤(飲み薬): エネルファ、エナルモン(メチルテストステロン25mg/1T)、ハロテスチン(フルオキシメステロン2mg/1T、5mg/1T)
『女性ホルモン(卵胞ホルモン)』
注射: ペラニンデポー・プロギノンデポー(吉草酸エストラジオール5mg/1A、10mg/1A)
錠剤(飲み薬): プレマリン(結合型エストロゲン0.625mg/1T、1.25mg/1T)、デボシン(メストラノール0.02mg/1T、0.04mg/1T)、プロセキソール(エチニルエストラジオール0.5mg/1T)
他にもプロベラ(酢酸ヒドロキシプロゲステロン)、ヒスロン(酢酸ヒドロキシプロゲステロン)などの女性ホルモン(黄体ホルモン)の飲み薬もあります。
GID(性同一性障害)のホルモン治療を行う上で、効果を判断するには、性ホルモンや性腺刺激ホルモンの血中濃度をみるといいです。
実際のGID(性同一性障害)のホルモン治療では注射が、一番多く使われているようです。
初めは少ない量で打ち、徐々に効果により量を増やしたり、間隔を狭めたり調節をするといいと思います。
注射の場合、効果の判定は、血中テストステロン濃度を測定することで判断が可能です。
テストステロンとは?
女性の場合、男性に比べて微量ではあるが、卵巣や副腎皮質から分泌されます。
料金はいくらぐらい?
だいたい一般的には、1回約2000円〜5000円、投与の頻度は1ヶ月に2〜4回みたいですが、どれぐらいの量での料金なのかは、病院によって違ってくるのではっきりは決まっていません。