GID 体験談

カミングアウト編

ここでは職場や友人、家族へどのようにGIDをカミングアウトしたかを書いていきます。

 

簡単にカミングアウト出来る人なんてきっといません。 僕のカミングアウト記録が誰かの役に立てば良いな、と思います。

友人へのカミングアウト@

僕自身、実はFTMの友人が片手で数えられるほどしかいません。

 

自分がGIDではないか、ということを一番最初に言ったのは、中学高校と同じチームでサッカーをしていた1つ上の先輩でした。

 

僕がカウンセリングに行く勇気がなく、どうしても一歩踏み出せずに居た頃、その人は戸籍変更まで済ませ、男性として社会人生活を送っていました。

 

その人には僕はカウンセリングの話や治療の話、手術の話、お金や友人や家族のことなど、本当に沢山相談にのってもらいました。

 

その人が居なかったら、もしかしたら今でも治療に乗り出せず、うじうじ悩むだけの生活を送っていたかもしれません。

 

お互い仕事が忙しく、きっかけをくれたその人とは暫く会えていませんが、次会った時は改めてちゃんとお礼を言おうと思います。

家族へのカミングアウト

◆妹

 

2012年5月下旬、18歳になった弟の誕生日会で実家に家族5人が揃ったその日、妹にカミングアウトをしました。

 

妹を家に送るべく、2人で実家を後にして車に乗り込み、第一声。

 

僕「ねぇ?△△(妹の名前)、お兄ちゃん欲しくない?」
妹「はい?!」
僕「もうさ、20年位お姉ちゃんやってて、そろそろ飽きたからお兄ちゃんになろうと思って」
妹「はあ、、、」
暫し沈黙
妹「男になるってこと?」
僕「そう。今病院も通っててカウンセリング受けてる」
妹「そっか、、、」
僕「うん」
妹「そうなんだー」
僕「うん」
妹「前から?」
僕「中学ん時くらいから」
妹「そっか。でもそんな気はしてた」

 

という風な感じでした。

 

年も近いし20年間一つ屋根の下で暮らしてきた妹。 やっぱり見てるんだなーと思った瞬間でした。

 

妹からはその後特に込み入った質問やなんかはなかったけど、今でも一番の理解者だと思ってます。

 

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◆両親

 

妹へカミングアウトした3ヶ月後、両親へカミングアウトをしました。

 

口下手な僕は何度もチャンスがあったのにどうしても口に出すことができず、同じ家に住んでいたのですが、結局手紙を書いて伝えました。

 

両親とも仕事が休みの日の朝、遊びに出掛けてくると母親に伝え、玄関でその手紙を渡した。

 

お父さん、お母さんへ

 

突然手紙なんて書いて驚かせてしまってごめんなさい。 今日はどうしても伝えたいことがあったので手紙を書きました。今まで何度も口に出して直接伝えようと思ったのですが、いつも上手くいきませんでした。 こんな一方的な伝え方はずるいとも思うけど、許してください。

 

単刀直入に言うと、○○(自分の名前)は性同一性障害です。まだ医師から診断書を貰ったわけではないので正式にそう言うのか、と聞かれれば違うのかもしれませんが、自分が「そうかもしれない」という気持ちは中学生のころからありました。 気持ちはあってもやっぱりなかなか行動に移すというのは難しいもので、気が付いたら大学も卒業して就職もしていました。 だけどやっぱり自分の思う心と体の性別は一致しなくて、今年に入ってから専門の病院に通っています。実際に治療を行うまでにはまだもう暫く時間が掛かりそうですが、今後は勿論ホルモン治療や手術等も行うつもりでいます。

 

因みにこのことは△△(妹)には3ヶ月前位に言いました。××(弟)にはまだ言ってないですが、近いうちに言おうと思っています。

 

今勤めている会社は12月いっぱいで辞めるつもりです。本当はもう少し早く辞めようと思っていたのですが、今年いっぱいやりきってから辞めようと思っています。 病気と100%関係ないと言ったら嘘になるけど、給料は良いけど拘束時間が長いしどうしてもやりたい仕事ではないので、良い機会だからすっぱり辞めてしまおうと考えました。 加えて、12月には貯金もとりあえず100万円貯まる予定で、変化を見られるのは少し気が引けるので家を出ようと思っています。

 

最後に一つお願いがあります。○○が生まれる前、"もし男の子が生まれたら"で考えていた名前があれば教えてください。なければ自分で新しい名前を考えますが、"○○"というのも二人がくれた大事な名前なので蔑ろにはしたくないのです。

 

2012.8.31

 

 

その後、両親とも暫く手紙を読んだのかもわからないくらい普通の日々が続き、2週間ほどして母親から、2ヶ月後に父親から手紙で返事をもらいました。

 

母親から返ってきた手紙は、正直悲しくて泣きました。

 

ただの勘違いだ、今だけの思い過ごしだと思う、まだ素敵な男性に出会ってないだけだ ・・・

 

今まで誰にも言えず悩んでいた時よりも苦しいくらい、言われたくなかった言葉たちが連ねられていました。

 

両親だけはいつだって自分の味方でいてくれると思っていたのに、期待した分、反動が凄く大きかったです。

 

でも考えてみたら両親は今まで僕を女性として十年、二十年と育て接してきたのです。

 

いきなり自分は実は心が男なんだ、と打ち明けたところで、あーそうだったのね、とすんなり受け入れられるものか、と問われたらやはり難しいのは仕方のないことなんですよね。

 

そして、高校生になってからまともに会話をしてなかった父親からの返事には、逆に感動と申し訳なさでいっぱいになり泣きました。

 

「多感な時期に一人悩み、多感な故に一人悩み、一番身近にいた家族に相談もできず、と言うより相談できないような環境をお父さんが作り続けてきたこと、二重三重にあなたを苦しめてきたことを本当に恥じています」

 

「親子の関係を修復するための努力を意図的に避けてきたお父さんは本当にダメな父親です」

 

「きちんとした医師の診断とあなたの気持ちが揺るぎないものであるならば、それを受け入れざるを得ないと思いますし、可能な限りの援助はしたいと思います」

 

そんなことが、長々と4ページに渡り書かれていました。

 

手紙のやりとりがあった後、改めて直接両親に自分の気持ちを伝え、最終的に僕が当時通っていたクリニックに3人で行くことになりました。

 

クリニックでは先生もこれまでの僕とのやり取りなど話を色々としてくれて、なんとか両親に自分の思いやこれまでの苦しみ、固い意志を伝えることができました。

 

戸籍変更を終えた今、両親が100%僕のことを理解してくれているかと言うと、悲しいけれど二つ返事はできません。

 

ただ、「あんたの人生だからあんたが決めなさい」と、最後は僕自身に託してくれた両親には本当に感謝しています。

 

皆もなかなか面と向かって直接カミングアウトするのは難しいものがあると思うので、僕のように手紙や、もしご両親とメールやLINEなどをよくするようなら、そういった方法でまずは伝えるのもありだと思います。

 

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◆番外編@:弟

 

僕の弟はとにかく鈍かったです。

 

胸オペして声が低くなって名前も変えたというのに、

 

「え?○○、名前変えたの?前からそんな声じゃなかったっけ?」

 

と、呆れるような言葉が出てきました。

 

結局僕がGIDであるということを彼が理解し意識し始めたのは、ホルモン治療を始めて1年が過ぎようとしていた頃でした。

 

はっきり言わなかった自分も悪いって、分かってはいるんですけどね。

 

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◆番外編A:祖父母

 

両親の祖父母に僕がGIDであることは、母親が伝えてくれたみたいです。

 

どんなふうに言ったのかは分からないけれど、今は祖父母も僕を"○○くん"とか"○○さん"とかって呼んでくれます。

 

80歳、90歳の人からしたらそれこそ性別を変えて生きるなんて異常と思われるかもしれません。

 

それでも、やっぱり家族というのは友達や知り合いや近所の人たちなんかとは少し違っていて、すごく温かい気持ちになるものです。

 

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職場へのカミングアウト

◆人事部の課長さん

 

少し順番が前後するのですが、前述の通り、まずは休みに入る前に会社の経営陣や各部署の責任者には僕のことが伝えられていました。

 

加えて、1ヶ月近く有給休暇の申請をする必要があったため、人事部には一通り話をしていました。

 

そして、手術が終わり、ある程度の荷物が持てて人並みのスピードで歩けるようになった頃、人事部の課長から、今後のことを話し合いたいから復帰前に一度本社に来てほしいと連絡がありました。

 

当時僕が住んでいた家から本社まではドアtoドアで1時間半。

 

さすがに通勤ラッシュの時間帯は避けてもらいましたが、電車に乗るのはかなり勇気が必要でした。

 

課長さんとは、本社近くの喫茶店で会いました。

 

本社の人もまだ大半が僕のことを知らない時だったので、気を遣って会社の外を選んでくれたのだと思います。

 

入社時は沢山お世話になった課長さんでしたが、自分が【新卒】ではなくなってからは殆ど関わりがなかったので、当時を振り返ったりしながら2時間くらいかけて色々な話をしたと思います。

 

入社当時の話、辞めていった同期の話、今年の新卒はどうだって話。

 

悩んでることに気付いてやれなくてごめんとか、ご両親や友人にはちゃんと話通ってるのか?とか、いつからGIDの自覚があったの?とか。

 

実は、馬鹿正直な僕はちょうど1年くらい前にこの課長さんに、正社員だけど別の会社でアルバイトをしたい、という相談をしていたんです。笑

 

勿論手術費・治療費を貯めるためだったのですが、当たり前のようにNGをくらいました。

 

その時のことを覚えていたようで、「あの時、なんでか分からないけどなんとなくそうかもしれないって思ったんだよね」なんてことも言っていました。

 

課長さんから、復帰後どのように接してほしいかを尋ねられたので、僕はここではっきりと自分の意志と希望を伝えました。

 

・男物のスーツで通勤し、トイレも男性側を使います
・社員証と名刺は、新しい名前のものを作り直して欲しいです
・業務用のメールアドレスや、登録上の名前も全て新しいものにしてほしいです
・今回の僕のことをわざわざ全社員に事細かに説明する必要はないが、社内混乱を招く恐れがあるのでその部分はお任せします
・不測の事態が発生して、今回のことで会社に迷惑をかけるようなことがあったらその時は退社させてください

 

だいたいこれくらいでした。

 

給料明細の名前だけは、戸籍上の名前が変わるまでは今のままで勘弁な、と言われました。

 

僕のことを社内の人間にどこまで共有するか、と言う部分に関して、最終的にその課長さんが出した答えは、

 

「社内の課長以上の役職者には全員周知・共有する そこから部下に落とす・落とさないは各部署の責任者に一任する 僕が復帰した日以降に入社する人間には一切共有しない」でした。

 

もう、あれから2年以上経ちますが、社内周知や色々な手続きをスムーズに且つスマートに整えてくれて、本当にありがたかったです。

 

友人へのカミングアウトA

 

◆I君

 

中学生の頃からの付き合いで、大学卒業後もちょくちょく会ってた友人で、直接打ち明けたのはI君だけです。

 

高校卒業後二流の大学に進学し、その後別の国立大学へ再入学したI君は、僕が社会人二年目になる頃もまだ大学生をしていました。

 

久しぶりに地元に帰ってくるという話を聞いて、食事でも、とメールで約束を取り付け、

 

「見た目、変わってると思うけど驚かないでね」

 

とだけメッセージを送って待ち合わせ場所に向かいました。

 

正直、見た目は殆ど何も変わっていなかったのですが、

 

「よ!久しぶり!」

 

と僕が声を発した瞬間、

 

「え?何!?」

 

と、マンガみたいに目を真ん丸に見開いて驚いたのを今でも覚えています。笑

 

詳しいことは後で話すからとりあえず店入ろう、そう言って半個室のような居酒屋へ行き、そこでこれまでの話を全部しました。

 

学生時代に感じていたこと、高校生の頃好きな子がいたこと、両親との確執、社会人になってからの葛藤、治療の話、手術の費用の話、会社での待遇・・・

 

気を遣う中ではなかったので、向こうもえげつない質をもバンバンしてきて、だけどその時はそれが何だか安心するというか、こいつにはやっぱ直接打ち明けて良かった、と思っていました。

 

お酒がかなり入ったI君は、僕なんかよりもお前の方がよっぽどイケメンだもんな、と、しきりに繰り返していて、それはきっと彼なりの、僕への激励の言葉だったんだと思います。

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◆友人たち

 

前述の通り、プライベートの友人には上で紹介したI君以外には誰一人として直接は打ち明けていません。

 

今の時代は便利なもので、facebookと言う画期的なSNSがあったから、休み中に乳房除去手術と改名を済ませた僕は5/1からめでたく【○○】となり、facebookで繋がっていた会社の人、小学校から大学までの友人に向けて、

 

「名前が変わりました。」

 

と投稿をし、そこについたコメントにひたすらこれまでの経緯を説明していきました。

 

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◆番外編(友人たちA)

 

facebookに投稿をしたことで、当時facebookにアカウントのなかった友人にも、回り回って少しづつ伝わっているようでした。

 

ひたすら避けてきた小中学の同窓会にも開き直って参加したり、自虐ネタで場を盛り上げたり、なるべく深刻に捉えられないように、あくまでも自然に、そしてあっけらかんと振る舞うことを常に意識していました。

 

最近、結婚式や結婚式の二次会に呼ばれた先で久しぶりに会う人も多くて、最初はやっぱり皆驚くものの、以前から外見も性格も男同然だったためか、女の子は案外皆すんなり受け入れてくれるんです。

 

今の悩みは男の友達が少ないことと、中学や高校の同級生(男)が自分をどう見てどう思ってるのか全く予想がつかないからなかなか絡みにいけないこと。

 

これ結構切実!笑

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