SRSとは?
SRSとは性別適合手術、性別再判定手術、いわゆる性転換手術の略称です。英語圏ではSRSという言い方が主流で、日本でも最近はSRSと当事者が言うことが多いです。
ちなみにSex Reassignment Surgeryの頭文字をとって、SRSということです。
Sexは「性別」、Reassignmentは「再割り当て」、Surgeryは「外科手術」。直訳すると、性別再割り当て外科手術で、要するに性別適合手術という意味です。
SRSの歴史について
ではここでSRSの歴史について振り返りたいと思います。
3世紀のローマ皇帝が医師に「人工的な膣を作る手術を行いなさい」と命じ、1930年、ドイツの画家のリリー・エルベさんが手術を受ける決意をします。
まず、オランダで男性性器を除去する手術を受けて、その次に、26歳の女性の卵巣の移植を受けました。
1950年、今度はクリスティーン・ジョーゲンセンさん(アメリカ軍の軍曹)が、デンマークに行きました。
そこで、4ヶ月ホルモン治療をして、1952年までに男性性器の除去と外見的女性化の手術を受けました。これがSRSの始まりです。
一方、日本で有名なSRSを受けた人といえば、カルーセル麻紀さんです。
カルーセル麻紀さんは、当時日本ではSRSは難しかったので、海外での手術を選択しました。
1973年、モロッコで手術を受けました。
この手術を行ったBurou博士という人物は、今MTFのSRSの主流となっている、ペニス反転法の考案した人でした。
この時代、日本で手術を受けることが難しかった理由としては、「ブルーボーイ事件」が上げられると思います。
このブルーボーイ事件を簡単に言うと、「3人の男性に性転換手術(性別適合手術)を行った医師が逮捕され、有罪になった」という事件です。
ただこの簡単な言い方だと全然伝わりきれてないので、詳しく説明したいと思います。
売春の取締りを強化していた当時の警察は、性転換手術(性別適合手術)をして女性になった男娼(戸籍上男性)の対策に頭を悩ませ、取り締まるのに苦戦していました。
戸籍上が男性のため、売春防止法で取り締まることができないというグレーゾーンの世界です。
そこで警察はなぜか「性別適合手術をさせないように、行った医者を逮捕しちゃおう」という結論に達し、「優生保護法(決められた範囲外で生殖をダメにする治療はしちゃいけないという法律)で認めた以外に、性的に不能にする手術は行ってはいけません」という規定を強引に決め、男娼自体を消滅させようとしました。
それによって、1964年に3人の男性に性転換手術(性別適合手術)を行った東京の青木正雄医師が「優生保護法違反」で摘発され、1969年に有罪判決になりました。
この有罪判決によって医療機関や世間で「性転換手術は違法」という認識が広まって、それから30年近く、性転換手術(性別適合手術)に対して医者が避けるようになり、性転換手術は日本で受けられないという結果になってしまったという流れです。
それを一番最初に打破したのが、埼玉医科大学でした。
その長い30年ぐらいの間、どれだけのGID(性同一性障害)当時者が絶望したか想像できません。
治療を受けられない当事者が増え、自殺者が増えたそうです。その数は何万人という単位でした。
当事者からすると、あまりにもこの事件は残酷すぎると思います。
同時期のアメリカやヨーロッパやカナダは、法的な性別変更を認めているので、日本のGID(性同一性障害)治療はかなり遅れていることがわかります。
日本では2003年に正式に戸籍の性別変更が認められるようになりました。
性転換手術(性別適合手術)はタイで受ける人が多い?
SRSは、日本のFTMさんやMTFさんは、現時点ではタイで手術を受ける人が多いです。日本はまだまだ2012年現在では保険適用外で料金が高いです。
タイのほうが安く、技術も上と言われています。噂によると、胸の手術(胸オペ)は日本のほうが技術が上という話も聞きます。
いずれにせよ、日本は手術の料金が高いので、個人的にはタイで手術を受けたほうが良いのかなと思います。